「鳥の郵便屋さん」
呼び鈴が鳴ったので窓の外を見ると、帽子をかぶり、グリーンの制服を着た配達人が立っていた。
ドアを開けると、彼は封書を差し出して言った。
「書留です。ここにサインをお願いします」
「この家はわかりにくかったでしょう。道が入り組んでいて」
私はサインをしながら、何の気なしに聞いた。
「いえ、空から来ましたので」
思いがけない言葉に私は顔をあげ、彼を見た。そうか、鳥か。
配達鳥は私のサインを受け取ると、ばさっと翼を広げた。
そして、いっぱいに手紙のつまったカバンを重そうにぶら下げて、飛び去った。
(版画・服部奈々子/おはなし・芳納珪)
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