版画とちいさなおはなし(21)

「洋燈草の詩」

「洋燈草の詩」

実家の納戸にあった古い植物図鑑を見ていたら、奇妙な見開き記事があった。並んでいるのは日本語の文字だが、さっぱり意味をなしていないのだ。ページの端に「電気を使わない光で照らしてみてください」とある。ちょうど納戸に石油ランプがあったので、父に使い方を教わり火をつけてみた。あたたかい光に照らされたページから、芽のようなものが生えてきた。芽はざわざわと増えてゆき、あっという間に枯れてしまった。枯れ草を退けると、文字の配列が変わっていた。

(版画・服部奈々子/おはなし・芳納珪)

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