KDPペーパーバックの作り方。本文デザインと表紙作成。

本文デザインで読みやすくする

前回<amazonのKDPでペーパーバック(紙書籍)を作る>の続き。

紙書籍の読みやすさを決定するのが本文デザイン(書式設定)だ。本文デザインは各自が使用するソフトで行うことになる。WindowsならWord、MacならPagesがポピュラーだろうか。ぼくはWordを使った。

【フォントの種類・大きさ】

フォントは数限りなくあるし、Word等自分が使用しているソフトにあらかじめ入っていたりするがそれがすべて商用利用可とは限らない。KDPで制作した電子書籍や紙書籍を売るのは商用利用にあたるので注意する必要がある。ぼくは無難にMS明朝を選んだ。
フォントサイズはKDPペーパーバックの規定で「7ポイント以上を使用すること」と定められている。『プロの絵本作り 本気で絵本作家を目指す人に』では本文文字を9.5ポイントにした。やや大きめだろう。ぼくも老眼に悩まされる年齢になったので、同様の方にも読んでもらえるように大きめにした(笑)。

【ページ周囲の余白】

読みやすさのため紙書籍のページ周囲には余白がとられる。
ぼくは手元にある本を参考にして「上22mm 下18 mm 内25 mm 外19 mm」とした。これもゆったり読みやすいよう広めにしたつもりだ。
「A5縦、本文MS明朝9.5ポイント」でこの余白だと「1ページに26行、1行31文字、1ページに806文字」となる。
上、下、外の余白は好みの問題だが、内側の余白は注意が必要だ。本は180度は開かない。のど(本を開いた中央部分)はどうしても見づらくなる。内側余白を充分取ればそれが緩和され読みやすくなる。
ぼくは110ページ(本文用紙クリーム)で25mmは必要と判断した。ページ数が増えるとのどはもっと開きにくくなる。したがって分厚い本を作るなら内側マージンをもっと大きく取った方がいいと思う。

【ノンブル】

ノンブル(ページ数)も、電子書籍では不要で、紙書籍では必要になるものだ。ぼくはWordの機能を使ってフッターのページ中央に入れた。左ページでは左端に、右ページでは右端に入れることもできるし、ノンブルのとなりに章タイトルを入れる等様々なスタイルがあるがまあシンプルにやってみた。

【裁ち落とし設定】

裁ち落としは印刷用語で、用紙の端までイラストや写真を印刷することを言う。この場合用紙の大きさより数ミリはみ出してデータを作成する必要がある。裁断がずれたときに白が出ないためだ。写真集、絵本、画集では必要になるケースが多いだろう。『プロの絵本作り』は文章本なので「経ち落としなし」とする。文章本ではふつう「経ち落としなし」でいい。

表紙作成で注意すべき点

続いて表紙だ。ここで躓く人が多いかもしれない。ペーパーバックの表紙作成は電子書籍より難しい。電子書籍には表紙(表1)しかないが、紙書籍には「表紙・背表紙・裏表紙」がある。これらをつなげた1枚の画像をアップロードしなければならない。本文もそうだが、表紙画像もファイル形式はPDFのみが使える。

『プロの絵本作り』でアップロードした表紙データ。右から、表紙、背表紙、裏表紙がつながっている。

『プロの絵本作り』でアップロードした表紙データ。右から表紙、背表紙、裏表紙をつなげてある。

面倒なのは3点だろうか。

【背表紙の幅】

背表紙の幅は使用する用紙とページ数によって決まるからその計算をしなければいけない。アマゾンが<表紙計算ツール>を用意してくれている。
ここで版型・用紙・ページ数などを入れると「表紙・背表紙・裏表紙」の正確なサイズを出してくれる。テンプレート (PDF および PNG) をダウンロードすることもできる。
ぼくはダウンロードした表紙テンプレートをガイドにして、パワーポイントで制作した。

アマゾンKDPの表紙計算ツール

判型やページ数を入力すると自動的に各部のサイズを計算してくれる。

【マージン】

これも電子書籍にはないものだ。
紙の書籍を作るには実際に印刷して裁断・製本する工程が必要になる。すると印刷も裁断も完璧ではない。ずれる可能性がある。だからマージンが必要になる。
万一ずれても大丈夫なように、文字や絵は仕上がり寸法より3㎜以上内側におさめ、一方背景色などは仕上がり寸法より3mm程度外まで広げる。
上でダウンロードしたテンプレートにはあらかじめマージンエリアが明示されているから、それに従えばいい。

KDPペーパーバックの表紙テンプレート

これが表紙テンプレート。けっこう親切。

【背表紙の文字】

紙の本なら背表紙にタイトルと著者名が入るが当然で、入っていないとカッコ悪い(感じ方には個人差があります)。とはいえあまり薄い本には物理的にタイトル文字が入れられない。
KDPペーパーバックの規定には「背表紙にテキストを含めるには本が 79 ページ以上である必要があります」とある。
しかし一方で本文も表紙も7ポイント以上の文字を使えと書いてあり、さらに「背表紙のテキストの両側に 1.6 mm以上の余白を確保」するとも書いてある。
計算してみると80ページの本の背表紙にはとても7ポイントは入らない。そもそも背表紙のタイトルは最低10ポイントはないと様にならない。
だから『プロの絵本作り』の110ページは背にタイトルを入れる最低限のページ数と考えていいと思う。
ちなみに文字サイズの単位の「ポイント」は1インチの72分の1で約0.35mm、10ポイントは約3.5mmだ。

また長くなってきたので今日はここまで。次回はお金の話、本のページ数と印刷コスト、ロイヤリティなどを取り上げる予定。

(by 風木一人)


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