電気売りのエレン 第5話 by クレーン謙

産まれてから、ずっと山で暮らしていたからなのか、実はというと僕はあまり都会が好きになれない。
でもレーチェルは都会に憧れている。
そりゃね、確かに都会はキラキラとしてきらびやかだ。
でも、そのキラキラした町の明かりは僕ら電気売りが、命がけでとってきた電気で光っているんだ。
でも都会の人は、そんな事はお構いなしだ。
なのに、僕らが町へ行くと町の人たちは僕らの事を田舎者だと言って、バカにする。

それに都会の人たちは、とても疑り深い。
あんなにたくさん人が住んでいるのに、お互いに本当に仲良くなる事なんてないんだ。
僕の住んでいる村では考えられない事だ。

僕と電気の実を乗せた馬車は町へと入っていった。
僕はそのまま、いつも電気を売りにいく市場へと馬車を走らせた。
市場に行けば、海の事を誰かに聞けると思ったからだ。
市場に着くと僕は馬車を降り、電気の実をひとつジョーにあげた。
ジョーは美味しそうにバリバリと音をたてながら電気の実を平らげた。

「ジョー、僕は電気を売りに行ってくるから、ここで大人しく待ってるんだよ」
そう言うと、ジョーはいつものようにブルルッと鼻をならした。
僕はカゴに電気の実を詰め込んで、市場の中心へと向かった。
市場では、実に様々な物が売られていて、いつものように活気溢れる声が飛び交っていた。
海や山で取れた色鮮やかな野菜や果物が、所狭しと並べられており、外国からやってきた商人が珍しい香辛料や陶器を売っている。
もちろん電気も売られていた。
僕はいつもの場所に行き、電気の実をカゴから取り出し、石畳の上に並べた。

「よう!エレン、元気かい?景気はどうだい?」
隣で電気カボチャを売っている、ラグが声をかけてきた。
ラグは西の草原で電気カボチャを育てていて、僕と同じ電気売りだ。

「やあ、ラグ。実はというとね、あまり景気がいいとは言えないんだ・・・・」
「やはりね。今年は、あまり雷が落ちなかっただろう?だからあまり、カボチャが育たなかったんだ。山の方でもそうかい?」
「ああ、とどろき山でも今年はあまり雷が落ちなかったから、電気の実がいつもより採れないんだ」
「何かが、おかしいよなエレン。・・・・今まで、雷が落ちないなんて事はなかった。俺たちに分からない何かがが起きているんだぜ、きっと」

僕とラグがそんな話をしていると、市場の通りの向かい側にいる男が僕の目にとまった。
その男は黒く日焼けをしていて、電気が入った壺を並べて売っていた。
その男には右腕がなかった。
僕は直感的に、その男は海からやってきたのだと思った。

――――続く

☆     ☆     ☆     ☆

ホテル暴風雨にはたくさんの連載があります。小説・エッセイ・詩・映画評など。ぜひ一度ご覧ください。<連載のご案内>