
我が家の時計は1カ月に5分くらい進みます。結婚する前(今から二十年以上前)に、てる君から誕生日かクリスマスのプレゼントでもらったもので、徳島で最もお洒落なお店で買ったそうです。
月に一回くらい時刻合わせをすれば良いものを、なんだか億劫で……

……来客を無駄に焦らせる時計になったのでした。
メーカーに修理を依頼したこともありましたが、「壊れているわけではありませんが、念のため部品は交換しました」と説明されて戻ってきました。無料でしたが、修理前と何も変わりませんでした。
その後、時計の機械部分(ムーブメント)で電波式のものを買って自分で交換することを思いつきましたが、なんだか面倒臭くて、てる君に頼んでも同じく面倒臭かったようで、そのままになっていました。
しかし最近……

かつて、たとえ自分でやる気があっても、そばに幼い子がいると落ち着かないから時計の修理なんて無理だと諦めていた時期もありました。それが、いつの間にか、自分では面倒臭いし技術的にも自信がないと思うことを、子どもにやってもらえる日が来るなんて!!……つくづく放置しておいて良かったと思いました。
吉ちゃんは、想定外の作業に苦労していました。
サイズの合うムーブメントは見つからず、少し大きい物を買って、表面を少しヤスリで削ったり……

付属の針は黒だったのですが時計の文字盤は紺色なので、見えにくいからと針の塗装を剥がしたり……

そうして、ようやく作業が完了したのですが……

ーーー1時間経過ーーー



電波をキャッチした時計は『不思議の国のアリス』のように針がぐるぐる回り、正確な時刻でピタッと止まりました。
より一層、家族の歴史を刻む思い出深い時計になりました。


『Nocturne Op.9 No.2』扉絵(『アックス159号』(青林工藝舎)掲載)
(津川聡子 作)
*編集後記* by ホテル暴風雨オーナー雨こと 斎藤雨梟
津川聡子作「やっとこ!サトコ なう」「第208話 吉ちゃん時計修理」いかがでしたでしょうか。
最後の扉絵と『Nocturne Op.9 No.2』が気になった方はこちらもご覧ください
時計と掃き出し窓を正面から捉えた写真も、無人だけれど家族の肖像のよう。くるくる回って、少しずつ遅れた時間を取り戻すなんて面白い……そこにも家族の時間が詰まっているのですね。「つくづく放置しておいてよかった」(by サトコ)は至言。吉ちゃん、お疲れさまでした!
「やっとこ! サトコ なう」へのご感想・作者へのメッセージは、こちらからどしどしお待ちしております。次回もどうぞお楽しみに♪