
版画とちいさなおはなし(17)
版画とちいさなおはなし17「まだ長靴を履いていない猫」粉挽き小屋を抜け出して、私はお城を眺めました。だんな様の遺言を聞いた時の三男様の顔ときたら! だって遺産は私一匹。そりゃあがっかりするでしょう。
芳納珪の私設レーベル。ワクワクする空想冒険譚をお届けします。
版画とちいさなおはなし17「まだ長靴を履いていない猫」粉挽き小屋を抜け出して、私はお城を眺めました。だんな様の遺言を聞いた時の三男様の顔ときたら! だって遺産は私一匹。そりゃあがっかりするでしょう。
版画とちいさなおはなし(16)「白い犬」 その犬は、毎朝丘の上に行って、森のねぐらから飛んでくるカラスを数えます。 「一羽、二羽、三羽...」
版画とちいさなおはなし(15)「丘の手」めり、めり、めり。 地面に右手が生えました。
版画とちいさなおはなし(14)「よあけの声」きりりと澄んだ空気をつらぬく、声。 たかく、ひくく。つよく、よわく。
版画とちいさなおはなし(13)「ねむりきのこ」ある晩、森のはずれに閃光が迸り、耳をつんざくような音がきこえました。
版画とちいさなおはなし(12)「緑の扉」けわしい岩山を何日も、荷物を負ったロバとともに登ります。
版画とちいさなおはなし(11)「魔法使いと影男」――魔法使いが石の鷹を置いて、街に呪いをかけました――
版画とちいさなおはなし(10)「遠いメロディ」――風向きが変わって、またあの曲が聞こえてきた――
版画とちいさなおはなし(9)「遠い記憶の南の海 赤い夕日は私のハート……」
葉の隙間から、青い空と小さな家が見えた。歩けども歩けども、近づかない。