
「白い犬」
その犬は、毎朝丘の上に行って、森のねぐらから飛んでくるカラスを数えます。
「一羽、二羽、三羽…」
昼間は、窓辺で本を読むご主人の足元にじっとして、何か変わったことがないかと見張っているのが仕事なのですが、そのあいだずっと、カラスの数を忘れないようにしているのです。
夕方になるとまた丘へ行って、ねぐらへ帰るカラスを数えます。数が合っていることをたしかめると、うちへ帰って、安心して眠りにつくのです。
(版画・服部奈々子/おはなし・芳納珪)
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