
8080号室からお届けしている『デカローグ』、半分の折り返し地点に差し掛かりました。
ここで1回お休みです(……お察しください)。
6月1日にお届けした『はいのサイさん、書籍化に関するお知らせ』でも記したように、先月、人生初の『文学フリマ』への出店を経験しました。
私が「初めてを捧げる場所」は、大好きなあの地「岩手」でした。
岩手で文フリにデビューできたこと、本当に本当に感激です!!
抽選に当てて下さり、神様、仏様、スタッフの皆様、誠にありがとうございました!
そして何より、我が『書房 峰歩庵』ブースにお立ち寄り頂いた皆様、お買い上げ頂いた皆様、ありがとうございました!! 心よりお礼申し上げます。
あの日(持って行った分は)完売した『三陸鉄道 乗り鉄子の旅vol.3』については、お約束通り、売り上げの1割を4月に林野火災のあった大槌町に寄付させて頂きました。
(本当は直接お届けしたかったのですが、翌日の大雨で叶わず、後日銀行振込となりました。まあ微々たる金額ですし、そのほうがよかったのかもしれません)

この表紙の〝ハカセ〟が見下ろす木々の向こうが消失してしまった場所のようです。
一日も早い復興を、陰ながら心よりお祈り申し上げます。
スターウォーズ作戦なので〝vol.3〟にはなっているものの実は処女作という拙著ですが、文フリ翌日の大雨による運休溢れる中での三鉄詣での話もいずれ〝vol.4〟になって出版される予定ですので、乞う!ご期待!
来年もまた皆様にお会いしたいので、今度は開始数分で売り切れたという、先着枠に申し込みたいですが、どうなることやら。ダメもとでチャレンジです!外れても、一般枠で申し込みます!
無事に当選した暁には、是非また『書房 峰歩庵』に遊びにいらして下さい。
それから、その二週間後には『ZINEフェス栃木』に出展しました。
(文フリは出店、ZINEフェスは出展というのですね)
こちらには、さらに栃木の鉄道についてのZINE『最終列車のそのあとで in 栃木』を新たに携えて参戦しました。当然、ZINEフェスに出展するのも初めてです。表紙は「とちのきファミリーランド」という遊園地にある、E5型を模したジェットコースターの写真です。

ZINEフェスは、文フリよりもクラフト系が多いと聞いていたので、いろいろお針子ものを作っていたのですが、結局間に合わず(涙)、当日ブースでチクチクやっている状態でした。
それでも結局この状態……。

(将来的にはこちらの↓ヘッドマークが出来上がる希望)
今はなき、特急「おはようとちぎ」のヘッドマークです。(出典:「愛称別トレインマーク事典」さんより)
実は裏から刺しているので、左右が反転しています(涙)。

こちらが刺している側(汚い……)
そんな私のブースでしたが、お立ち寄り頂いた方、お買い上げ頂いた方、誠にありがとうございました!!
「文フリ岩手」で、お母様が拙著をお買い上げ下さったという娘さんに出会えたりして、縁は異なものを痛感するひとときでした。本当に嬉しい!!娘さんにもお伝えしましたが「山田せんべい」購入しました。最初ビックリしましたが、意外と癖になりますね。教えて下さって、ありがとうございました。
それから、初めて〝私のファン〟という方に、お目にかかることもできました!嬉しすぎる。
ありがとうございます!! これからも、どうぞよろしくお願いします。
皆様との出会いが、大いに励みになります。
と、今回はお礼で終わろうと思ったのですが、それではこの〝心理学エッセイ〟の名が廃る(かもしれない)。
先述の「文フリ岩手」は、サッカーワールドカップ2026の日本代表の第2戦ともろ被りの時間帯でして、集客に影響があるのでは?と一人ヤキモキしていたのですが、杞憂に終わりました。
というか、そもそも、文フリに来る人たち(出店者含む)は、あまりサッカーに興味がないのかもしれません。現に、両隣の方に「サッカーと被ってるんですよね」と言ったところ、お二方とも「へー。そうなんですか」と薄い反応で、ずっこけました。
そういえば、本ホテルオーナー雨梟殿に話した際も、同様の反応が戻ってきたことを思い出し、「意外と平気かも」と勇気づけられたものです。
(そして、実際平気でした。雨の影響のほうがあったのかもしれません)
その日の試合ではチュニジアに勝利し決勝トーナメントに進んだ日本代表も敗戦し、世間のサッカーブームも落ち着いてきたような気がします。無論、まだワールドカップは続いており、熱い試合が繰り広げられています。私はあまりサッカーには詳しくないのですが、ブラジル代表のネイマール氏が好きで、彼が試合に出るのを楽しみに待っていたのですが、やっと出たと思ったら負けてしまったので悲しいです。でも最後にちゃんとゴールを決めてくれるあたり、さすがだと思いました。(やっぱりカッコイイ!)
サッカー好きな人や推しの国や選手がいる人は、熱が冷めることなく見続けていると思うのですが、自国が負けると興味をなくす人がいます。それも結構な割合で。今日なんかも、時事ネタを話すことを生業にしているコメンテーターが、そうした発言をしているのを目にしたぐらいです。
事実、テレビの番組表からも「ワールドカップ」の文言が減ったように思います。
試合の放送自体は権利の関係で制限されるのでしょうが、試合にちなんだ解説的な番組は、それらとは関係ないはずなのに、激減したような……(違っていたらすみません)。
自国が勝っている時は盛り上がるのに、負けるとさっさと日常に戻る。
こういう傾向は、何もワールドカップに限られる話ではなく、オリンピックや他競技でも散見されます。
何故でしょう?
社会心理学では、私たちは〝自分の評価を上げるためにいろんなことをする〟と考えられています。
誰かと自分を比べて一喜一憂したり、自分より何かが劣る人と比べて安心したりする。
自分の評価が下がりそうな時は、わざと自分にハンデを負わせて、失敗の予防線を張ったりもする。大事な試験の前に限って、いつもはしない部屋の掃除をしたり。そうして、掃除して勉強できない自分を作ることで、失敗による自分の評価の低下に備えているのです。
自分の評価を上げたり守ったりする策略にはいろいろありますが、中でも、ネーミングからして、なかなかすごいのがあります。
その名も『栄光浴現象』。
英語では『Basking in reflected glory』。直訳すると〝反映された(他人の)栄光に浸る〟。なんとまあ!いかついことで。
自分が得意とすることや思い入れの強い事柄では、私たちは、他人に自分に負けまいと努力することもできる。だけど、苦手なことだったり、自分にとってどうでもいい事柄でまで、努力したりはしない。要は、手を抜く。
けれども、そんな事柄でも、私たちは誰かと自分を比べて一喜一憂したりする。比べるのが好きなんですねえ。で、できれば一喜したい。一憂は避けたいと願う。
主に栄光浴現象は、そういう時に起こりやすい。
自分の成果ではなく、他者の優れた成果を我が身に引き寄せ、自分の評価を上げようとする。
「隣の芝生は青い」とただ羨むのではなく、その芝生の上に勝手に寝っ転がって寛ぐんです。
でも、横取りする栄光の持ち主は、自分に近くないと駄目です。さすがに縁も所縁も全くない他人の栄光は横取りできない。遠くの芝生に寝転がりに行くのは、大変ですからね。
だから「自分と同じ国の選手が勝っている」というのが、大事なのかもしれません。
まあ、必ずしも同じ国じゃなくても「自分が応援しているチームの選手」でもいいのかもしれないけれど。つまりは、その人たちと、心理的な近さを感じられなければならない。
そして、日本が負けたら一気に日常モードになる現象は、この「栄光浴現象」の反対側にある現象として説明できます。
その現象は『Cutting off reflected failure』と言います。
こちらには、残念ながら、「栄光浴現象」みたいないい日本語訳がついていません。直訳すると〝反映された(他人の)失敗を切り離す〟でしょうか。
ワールドカップにおいて、試合に負けたことは決して〝失敗〟などではないのですが、日本が負けた事実を自分から切り離すことで、自分の評価を下げないようにしていると考えることができるのです。
人の手柄は横取りするのに、失敗には知らん顔するなんて、なんとまあ自分勝手な現象なのでしょうか。
そう言えば『勝ち馬に乗る』という言葉もありますね。
単に勝ってるほうに味方したほうが利益を得られたり、不利益を被らなくて済むということもあるでしょうが、ひょっとすると、栄光浴の心もあるのかもしれません。
しかしながら、日本人には『判官贔屓』という、負けた者に寄り添う心を貴ぶ心理もありましたっけ。優しい文化ですね。いろんなものが変わってしまうけれど、残り続けてほしいです。
自国に有利になるようなルール変更を強要する大統領は、一体誰のために、何のために、そうしたのか? そうしてズルしても勝てば、誰かの幸せは得られるかもしれない。でも負けてしまった今となっては、誰も幸せにしない。その選手のためや国のためではなく、自分の評価を上げるためだけに権力を使おうとする人が上に立つのは、悲劇しかもたらさないと思うのです。某大統領に対しては、負けた彼らに対しても、同じ熱量で応援し続けることを願ってやみません。余計なお世話だけど。
(by 大日向峰歩)
*編集後記* by ホテル暴風雨オーナー雨こと 斎藤雨梟
大日向峰歩作『心を紡いで言葉にすれば』第25回『隣の芝生で寝転がる』いかがでしたでしょう。文学フリマ岩手、ZINEフェス栃木を盛り上げてくださったみなさまに、私からも感謝申し上げます! これからも鉄子心理学エッセイ&小説にご期待ください♪
さて、おそらく峰歩さんの予想通り、「ワールドカップで大統領が何したって?」と調べるところから始めた私です(ヒント:アメリカ。ってみなさんご存知か)。乾物の水戻しみたいに栄光に浸しておかないと干からびそうな大統領にも困ったものですが、栄光浴は何せ日光浴、森林浴と並ぶ三大浴。日光によるビタミンD合成が骨を強くし、森林のヒノキチオールなどの物質が精神を安定させ、栄光浴ではビタミンGとエイコウチオールの働きが脳内の快楽物質を増やすと言われているくらいですからその誘惑には勝てないんでしょうね。ええ、ウソですが。
次回は『デカローグ』第6話です。どうぞお楽しみに!
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