【善財くんがゆく!】第十一話 善財くん、宝石の中に宇宙を見る:第五の善知識・慈行童女 (2)
善財は目を見開く。 柱の中で、 何かが動いた。 「……え?」 木目の奥。 金の装飾。 宝石の輝き。 そ...
東西の古典を、きわめて平易な現代語に訳出する試みです。 意によって大幅に構成を改編し、読みやすくするために潤色を施しています。
少年は、五十三人の師に会うため旅に出る。
『華厳経』入法界品に描かれた善財童子の求道の旅は、仏教文学の中でも屈指のスケールを持つ物語です。
本連載では、その壮大な物語をベースに、原典のエッセンスを活かしながら、現代の読者にも読みやすいストーリーとして再構築。
商人、王、船頭、遊女、菩薩――多彩な「善知識」との出会いを通して、智慧とは何かを探る長い旅が始まります。
著者:文野潤也
善財は目を見開く。 柱の中で、 何かが動いた。 「……え?」 木目の奥。 金の装飾。 宝石の輝き。 そ...
勝熱バラモンと別れてから、 数日が過ぎていた。 善財は、 南へ向かう街道を歩いていた。 空気が違う。 そう感じた。 ...
炎が揺れる。 「人は、 何度でも迷う」 熱風が吹く。 「何度でも執着する」 光が巡る。 「だから、 何度で...
勝熱バラモンは、 静かに笑った。 「うむ」 それだけだった。 責めもしない。 怒りもしない。 ただ、 当然...
善財は固まった。 数秒後。 「……はい?」 勝熱バラモンは笑う。 「飛び込めと言ったのだ!!」 「いやいやいや...
善住比丘と別れてから、 数日が過ぎていた。 善財は、 山道を南へ歩き続けていた。 空は高い。 風は穏やかだ。 だ...
善財は、 しばらく空を見上げていた。 風が流れていく。 雲が動く。 遥か下では、 人々が小さく行き交っている。 ...
善住比丘は続ける。 「怒りも」 風が鳴る。 「悲しみも」 雲が揺れる。 「迷いも」 龍が空を巡る。 ...
黒雲は、 空の端をゆっくりと流れていた。 最初は、 ただの雨雲に見えた。 だが。 善財は眉をひそめる。 (……違...
「落ち着け落ち着け」 善住比丘は呑気に言う。 「最初は皆そうなる」 「皆って誰ですか!?」 善財は半泣きだった。 ...