【善財くんがゆく!】第七話 善財くん、世界の広さを知る:第一の善知識・徳雲比丘 (3)
善財は、 しばらく言葉を失っていた。 山の空気は静かだった。 風が吹き抜けるたび、 木々がざわりと揺れる。 だが、 ...
東西の古典を、きわめて平易な現代語に訳出する試みです。 意によって大幅に構成を改編し、読みやすくするために潤色を施しています。
少年は、五十三人の師に会うため旅に出る。
『華厳経』入法界品に描かれた善財童子の求道の旅は、仏教文学の中でも屈指のスケールを持つ物語です。
本連載では、その壮大な物語をベースに、原典のエッセンスを活かしながら、現代の読者にも読みやすいストーリーとして再構築。
商人、王、船頭、遊女、菩薩――多彩な「善知識」との出会いを通して、智慧とは何かを探る長い旅が始まります。
著者:文野潤也
善財は、 しばらく言葉を失っていた。 山の空気は静かだった。 風が吹き抜けるたび、 木々がざわりと揺れる。 だが、 ...
善財は恐る恐る口を開いた。 「あなたが……徳雲比丘なのですか?」 「ああ、たぶんな」 「たぶん?」 「今ちょっと忙し...
善財は南へ向かって歩き続けた。 町を離れるにつれ、 道は細く、空気は静かになっていく。 人の声よりも、 風に揺れる草木の音の...
翌朝。 ダニヤーカラの街は、まだ薄い朝霧の中にあった。 市場の店は閉まったまま。 通りを歩く人影もまばらで、 遠くから荷車の...
善財は家へ帰る道を、ゆっくり歩いていた。 頭の中では、まださっきの光景が何度もよみがえっている。 文殊菩薩の前に進み出たときのこ...
文殊菩薩に弟子入りして色々教えてもらおうと思っていた善財は、 思いもよらない提案に絶句した。 「オイ、善財……」 硬直...
やがて集会は終わった。 人々は感動の余韻に浸りながら、 次々と会場を後にしていく。 だが―― 善財だけは、その場を動かな...
そのころ―― 文殊菩薩は、正直なところ少し疲れていた。 一週間前。 コーサラ国の祇園精舎での説法にシャカムニ・ブッダから呼...
街の東へ向かう道は、いつになく人であふれていた。 林の奥にある説法の広場へ向かって、 町の人々がぞろぞろと歩いている。 善財た...
善財くんがゆく! ― 華厳経「入法界品」より ― <筆者より> 今回より華厳経「入法界品」の超訳チャレンジを開始いたします。 ...