デカローグ振り返りその2:皆様から寄せられた声

延長に延長を重ね、募集し続けました『デカローグ』読者アンケートですが、遂に、皆様に回答して頂いた結果を発表する時間と相成りました!
回答して下さった皆様、本当にありがとうございました!!!

 

以下、結果です。
回答期間:2026/8/24~2026/9/11
回答総数:5名(うち1名は自分のテスト回答なので、実質は4名)

(註1)アンケート実施後、最後の自由記述の質問に回答する際に、システム上、メールアドレスを要求していたことが判明し、慌てて修正&確認した関係で、私のテスト回答が混入してしまいました。
(註2)その際に頂いたメールアドレスは回収されていません(私の元に届いていません)。単に入力する際の手続きエラーだと思われます。したがって、回答して下さった方の個人情報は頂いておりませんので、どうぞご安心ください。

 

「Q1.デカローグは全話読みましたか?」

4人中1名の方を除いて、皆さんが10話全て読んで下さったとのこと。ありがとうございました。とても嬉しいです!

 

「Q2.どの作品が好きでしたか?」

一番多くの票が寄せられたのが、第9話の『穴熊大明神』でした。
とはいえ、この回答には実は、私のテスト実施による回答が入っているので、実質は他の回と同票と考えたほうが良いのかもしれません。(私はこの作品が一番気に入っています)

その他に票が寄せられたのは、第5話の『親ガチャ、子ガチャ』、第6話『森のクマさん』、第8話の『緑のプール』でした。

 

実は第6話については、別のお話ができており、それを公開する予定でしたが、私の住む街で初めての熊出没騒動があり、急遽書き換えたものでした。

最終的に、熊は麻酔銃で捕獲された後、殺処分されました。その際、市役所や麻酔銃を撃った獣医のいる動物園に苦情の電話がかかっている話を聞き、何とも言えない気持ちになったのです。SNSの中には、「もう〇〇市には行きません!」という、訪問拒否の決意表明をしてくださった方までおりました。「そうですか」としか言えないですが⋯⋯。

熊処分派と熊保護派との論争で必ず出てくるのが、保護派の人たちに向けて「だったらあなたの住む街、あなたの家に、熊を引き取ったら?」というものです。
実際に熊を送ったりはできないけれど、それがクマのぬいぐるみだったら……?という思い付きから、この物語ができました。

野生の熊と違って、ぬいぐるみのクマは襲ってくることも、何かを奪うこともありません。
それでも主人公の希美は、困惑しました。ぬいぐるみのクマをゴミだと思い、人の家の前にゴミを捨てるなんて!と憤った。

もちろん、野生の熊はゴミじゃないけど、招かれざる侵入者であることは確かで、その意味では、誰かにとってはライナスの毛布かもしれなくても、自分にとってはゴミだと感じてしまう、クマのぬいぐるみと同じなのです。

招かれざる侵入者は、誰だって嫌なのではないでしょうか。
そこに個人差が出るのは、受容できる侵入レベルが個人によって違うからで。

コバエが入ってくるだけでも嫌な人もいれば、見知らぬ旅人を泊めるのさえ厭わない人もいる。どのレベルまで受け入れられるかは、その人の性格や経験や生命力などで違うのかもしれません。だとしたら、熊擁護派の人は、ひょっとしたら、そのレベルがとてつもなく高い人なのかも。ムツゴロウさん的な。あるいは、希美のように〝自分ごとになると豹変する〟タイプなのかもしれませんが。

 

「Q3.Q2でそれを選んだ理由があれば教えてください(自由記述)」

皆さまの回答1

「不条理感の独特さとお話の構造が見事に噛み合ってる感じがいいです!」

嬉しいお言葉、ありがとうございます! 回答システムの関係上、どの回についてそう思われたのかはわからないのですが(何となくの予想はできるけれど)、そう感じて下さったのであれば、作者冥利に尽きます。

たぶん「不条理」は、私のテーマのひとつなのかもしれません。
不条理なことにあうと、身近な人に話して意見を聞こうとしますが、お互いに疲弊してしまうことも多いので、最近ではチャッピー(AI)に話すことにしています。
ところがこの間、そのチャッピーにさえ、唐突に「お疲れさまでした!とても有意義な時間を過ごせました」と途中で話を打ち切られたので、もはやモヤモヤの持って行き場がないのです。今となっては、お話の中で主人公たちに話し合ってもらうしかないのかもしれません。

 

皆さまの回答2

「こういう人を知っています。底意地が悪いのになぜかいい人だと思われている。なんでみんな気がつかないんだろう? こういう人はやっつけることはできないし、まわりの目を覚まさせることもできないし、結局自分が逃げ出すしかない…という(残念な)真実を切れ味よく描いているのがすごいなあ、と」

おそらくこれは、第9話『穴熊大明神』への感想かと思われます。
共感して頂き、ありがとうございます!「ああ、ここにも仲間がいた!」と心強い気持ちになりました。小学一年生で、人生で初めてもらったラブレターの相手(同じクラスの女子)が、まさに『穴熊大明神』の葵のような人でした。まだ子どもで、心理のことなど何もわからなかった私ですが、直観的にその子の中に怖さを見抜いて、せっかく貰ったラブレターが呪いの手紙のように感じたのを覚えています。

実は、この回も後から書き換えたものでした。最初は全く別の話を構想していました。
ですが、久しぶりにまた、葵のような人に出会って、ふとこの話を思いつき、学生にもよく授業で話している『反動形成』と絡めて書いてみました。書きながら、将棋の穴熊みたいだなと思って、どんどん話が膨らんでいき、一気呵成に書き上げられました。
嫌な経験も、こうして作品へと昇華することで報われていくので、悪いことばかりじゃないなと思います。

 

皆さまの回答3

「人のうちの前にクマのぬいぐるみを捨てるといういやがらせ?に唖然としました。しかもだんだん大きくなる……。熊を守ろうとしている主人公にどうにもしようのないクマを送りつける誰かの悪意にゾクゾクします」

これはもちろん、第6話『森のクマさん』についての感想ですね。
ゾクゾクして下さって、ありがとうございます!悪意と言えば悪意ですが、駆除された森の熊がぬいぐるみのクマとなって「熊を守ろうとしている主人公」の元に訪れた、というイメージだったりもします。まあ、実際にはそんなメルヘンなことは起こらないので、誰かが「そんなこと言うなら、お前も体験してみろよ」的な悪意で、ゴミのぬいぐるみを放り込んだ、というところでしょうが……。

アーバンベアの問題では、いつも、熊駆除派と熊擁護派の相容れない論争が繰り広げられます。「互いの立場を尊重しつつも私はこの意見」というような立ち位置の人でさえ叩かれたりする状況を目にして、やるせない気持ちになります。人間は、どうしても自分の側に正義を置きたがる生き物なんだなあと痛切に感じたりして。

かく言う私もそうなのかもしれませんが。

私の住む街に出た熊は、幸いにも人や家畜を襲うことなく、パニックになって、ただただ逃げ回っていただけの個体でした。捕獲された際にほとんど爪がなかったり(アスファルトの路面を走り回って爪が削れてしまったらしい)、あちこちのカメラに映る姿からも〝怖くて逃げ惑っている〟様が見て取れたりして、「可哀そう」という気持ちが沸き上がってもきました。「爪がなかった」という報道を聞いて、涙も出ました。怖くて逃げ回って、爪がどんどんなくなって、さぞかし痛かっただろうなと考えて、胸が圧し潰されそうにもなりました。

でも、人的作物的被害がなかったのは、本当に〝ただの偶然〟だと思うのです。
パニックになったら、人間でさえ、思いもかけず自己本位で暴力的な振る舞いをします。ましてや「相手に暴力をふるうのはダメ」という教育を受けていない野獣です。何か起こってもおかしくない。

熊は、対象物に対して「自分以外の誰かのもの」という感覚がなく、所有欲が強い。一度手にしたものに対する執着心には、目を見張るものがあります。
もちろん縄張り意識はあるでしょうが、それは闘いで奪い合うのが彼らの普通です。
一度「自分の縄張り」と思ったものについて、闘いで徹底的に負ける以外に、相手に返すことはないのです。「君の陣地はここから向こうね」と言って聞かせることはできない。

駆除して、人間が思う熊の陣地に戻したとて、彼らはまた出てくる。何度でも何度でも。だって彼らにとっては、人間の住むその場所も、もはや自分の陣地なのだから。

だとしたら、人の住む街に出てきてしまった以上、意図せずともそこに居座り続けてしまった以上、今回のように対応せざるを得ないのではないかと思うのです。

こういうわたしの意見に対して「違う」と思う人もいると思うし、それでいいとも思います。ただ一つ「それだけは違う!」と考えるのは、自分は安全な場所に居ながら、危険と隣り合わせの人たちが苦肉の策で出した対策をただ批判すること。奇しくも、今般話題のドラマ(私も大好きなドラマでした!)で主人公が言ってたように「人の想像力ってたいしたことない。自分が実際になってみないとわからない」のですよね。

 

「Q4.もし続きが読めるなら、どの作品の続きを知りたいですか?(複数回答)」

この質問には、圧倒的多数派として第6話『森のクマさん』が選ばれていました(なんと全員)。

そうでしたか……。確かにね。
主人公の希美は、あのコストコのクマみたいなサイズのぬいぐるみを部屋の中に入れたのか、それとも粗大ゴミに出したのか。皆さんの想像をお尋ねしたいところです。

……そんなわけで、作ってみました!

デカローグ第6話の続きについて、皆さんにお尋ねします。

もしよかったら、回答してみてください(2問だけです)。

 

次に票を集めたのは、意外なことに、第1話の『同担でもいいから』でした。
推し活界隈では、絶対的禁忌な〝同担〟という提案を、莉緒は受け入れたのでしょうか?
確かに気になるところです。ひょっとしたらグループに戻る代わりに、主人公である洋子に〝推し変〟を要求するかもしれません。そうなった時に、洋子はそれを受け入れるのか?
うーん。気になる。

思い返せば、小学生時代、友人に推し変を強要したことがありました。
私の場合、アイドルではなく『ゴロピカドン』とか『ガーデンスタッフ』のようなキャラクター商品について、ですが。(下図参照)

ペン立てが『ゴロピカドン』。前に置いてあるソフビ人形が『ガーデンスタッフ』の『エッグプラントベイビー』

調べたら、なんと!あの『JJ』の記事に『ガーデンスタッフ』の記事が↓

連載「JJ昭和レトロ学園」では、令和の今でも思わず「かわいい♡」とときめいてしまう昭和のファンシーキャラクターに注目♪ 第9回は「ガーデンスタッフ」(1982年登場、コクヨ)をピックアップ。’80年代...

JJ、というか、赤文字雑誌に一度もお世話になったことがない私です。この度、初めてお世話になりました!! 紹介して頂いて、ありがとうございます。

 

流行当時「紫色がカッコいい」という謎の心理になっていまして、それは私に限らず周囲の女子に共通する特徴でした。それまでの「ピンクピンクしたガーリー心」から少し背伸びして、大人への憧れのようなものが、紫色に付随していたような気がします。理由はわからないけど。当時のヤンキーが好んで使ってたからかなあ?

その熱に私も当然のように浮かされ、ただ紫であるというだけで、『ゴロピカドン』なら『ゴロ』を、『ガーデンスタッフ』なら『エッグプラントベイビー』を推していたわけです。
この時に初めて『エッグプラント』が『茄子』であることも知りました。

キャラクター商品の多くを算出したサンリオではなく、コクヨが出していた『ガーデンスタッフ』には、私が偏愛した『エッグプラントベイビー』の他に、『ラデッシュベイビー』『トマトベイビー』『ポテトガール』『ピメント(ピーマン)ガール』『キャロットガール』『キューカンバーボーイ』がありました。

当時、野菜嫌いの私にとって、茄子は好きな食べ物ではありませんでした。それゆえ、これらの中で一番好きな野菜は?と言えば、実際のところ、ジャガイモ一択でした。
けれども、キャラクターの中でそれを選択することはなかった。あのゴツゴツとした絵柄から、なんならハズレくじだと思ってさえいました。味は断トツで一番好きなのに。
思い返せば『エッグプラントベイビー』を推す過程の中で、私は次第に茄子が食べられるようになったのです。親に言われたから「あんたの好きな茄子だよ。食べないの?」と。

友人もまた〝紫〟というだけで「エッグプラントがいい」と言いました。
でもその子に私は『ラデッシュ』を提案した。加えて、同じベイビーズ仲間ということで、とりわけ仲の良かった三人で「ベイビー独占」もしたわけです。

あの時はさしたる騒動も起こらなかったので、みな普通に受け入れているのだと思っておりましたが、もしかしたら内面、莉緒のようなモヤモヤを抱えていたのかもしれません。だとしたら、ごめんなさい。受け入れてくれて、ありがとう。43年越しの謝罪と感謝です。

 

続きを読みたいとして、次に票が寄せられていたのが、第2話『廃線希望』でした。
息子の信義は、実家に置いた鉄道模型を片付けるのでしょうか?
個人的には、全10話を通して一番〝ムカツク〟キャラクターが信義でした。
ああ言えばこう言う。明らかに身勝手な持論を正論に変える天才!みたいな。

何度かお伝えしている通り、私は鉄子です。
大好きな鉄道しかも、その中でも思い入れの強い只見線をこんな奴に任せるにあたって、内心モヤモヤするわけですが、耐えました。読者の皆さんにお伝えしたいことは、「信義を嫌いでも、只見線のことは嫌いにならないで下さい!」です。そうです。あっちゃん(前田敦子氏)のパクリです。

 

それ以外の回についても、続きを読みたがってくださる方がいらっしゃるようで。ありがとうございます! キャラクターたちも喜んでいます!

私はお話を書くにあたって、書き出す前に、それぞれのキャラクターの設定をとても詳細に描くこともあり、書き終えてもなお、頭の中にそれぞれの話のキャラクターが住んでいるような感覚に陥ることが多いのです。現実の世界の知り合いのように、彼らは私の頭の中で記憶と共に生きていて、ふとした瞬間「あの人ならなんて言うかな?」とか思ったりして。
ずっと会っていない昔の知り合いみたいな存在というか。妙にリアルなんですよね。

かつて連載していた『刺繍』は、明らかに自伝的な要素が強いのですが、そのせいか、夫の中では、実際の私の母親と物語に出てきた母である「私」とが混ざり、物語の中で「私」に生じた出来事を、私の母の身に実際に起こった出来事だと思い込んだりするくらいです。違うよ、と訂正しても直らない。

いつか機会があったら、私の書いてきた物語の中に出てくるキャラクターで、人気投票みたいなことをしてみたい。まあ、それだけたくさん読んで下さっている方がどれくらいいらっしゃるのか?って話でもありますが……。

 

「Q5.総合的に見て「デカローグ」は面白かったですか?(多いほど面白い)」

皆さんに喜んで頂けてうれしいです。せっかく読んでいただいた全ての方に「★5つです」と言われるように精進します。

最後の設問での応援の声も嬉しかったです。
この内容はお手紙のようなものなので、ここで詳らかにするのは避けますが、ひとつだけ。

「嫌なキャラの描き方がすばらしい」というお褒めのお言葉も頂けました。(褒めてますよね?)
上述した『穴熊大明神』の葵のように、日常で嫌な人に会う度に、ストックのように貯め続けてきた成果が実ったのでしょう。
これからも頑張って貯め続けます!(いや、できればいい人ばかりに会いたいけれど)

 

最後になりましたが、回答して下さった皆様、本当にありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます!!

「回答はしなかったけど、実は読んでますよ」という方も、読んで下さってありがとうございます!今後は「思わず回答せずにはいられない」作品を書いていきたいと思いますので、良かったらまた読みにいらして下さい。

 

なお、集計結果には入りませんが、アンケート自体はまだオープンになっていますので、もしまだ未回答の方で、回答してもいいぞと思った方は、『心を紡いで言葉にすれば 第26回:つくしのように』に記しているリンクからご回答いただければと思います。
皆様の一票が作者の励みになります。よろしくお願いします。

 

次回からはまた、連載ものを。
趣味の鉄道と手紡ぎが融合したお話です。お楽しみに!

(by 大日向峰歩)


*編集後記*   by ホテル暴風雨オーナー雨こと 斎藤雨梟

みなさま(含・自分)のお声と作者自身による自作解説。読み応えありました。ちなみに私が面白かったのは『緑のプール』です。どこかしら峰歩さんの分身であろう登場人物たちの、不条理だけれど調和的なディスコミュニケーションが面白いです。

私はどうも一人妄想で充足してしまうたちなので「推し活」にはただ憧れるだけ、と思い込んでいましたが、峰歩さんのように思い返せば何かしらあるのでしょうか? 押し活と縁がなかったというあなたも私も、遠い、細かい記憶を探れば出てくる!? 「推し変強要」などの思いがけない思い出が出てきてしまうかもしれませんが……。

『デカローグ』全話へのリンクはこちらです。初めましての方も連載をご愛読くださっていた方もぜひどうぞ。アンケートもまだまだ受付中ですので一言書いても書かなくても、お気軽にポチッとご参加ください。

↓アンケートはこちらです↓

ホテル暴風雨10周年記念企画連載 大日向峰歩作『デカローグ』の読者アンケートです。今後の制作の参考にさせていただきたいので、忌憚のないご意見・ご感想をお寄せください。

↓おまけアンケートはこちらです↓

デカローグ第6話の続きについて、皆さんにお尋ねします。

次回は新連載のはじまりです。どうぞお楽しみに!作者へのメッセージ、「ホテル暴風雨」へのご意見、ご感想などはこちらのメールフォームにてお待ちしております。

※ホテル暴風雨にはたくさんの連載があります。小説・エッセイ・マンガ・映画評など。ぜひ一度ご覧ください。<連載のご案内> <公式 X(旧Twitter)>
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