わかるか? これこそが、まさに真の「降魔の秘術」なのじゃ。
悪魔に襲われた時ばかりでなく、どんなにウハウハな時もガッカリな時も、この道樹禅師のような態度でいることができたなら、修行は放っておいても完成することじゃろう。
ダルマ大師が、「あれこれとキッカケを求めてウロつくな! クヨクヨと悩むのもやめろ!
城壁のようにキッパリと直立不動の精神を持て! それだけで充分だ」とおっしゃったのは、つまりこのことなのじゃ。
これは日常生活に役立つばかりでない。さぁ、「いよいよ死ぬ」という時においても使えるワザなのじゃ。
「伝心法要」の中で、黄檗禅師はこんな「死に方」指南をしていらっしゃる。
聞け、ボンクラども! オマエらに、くたばる時の心構えってヤツを教えてやるぜ。
本当のことをいうと、「心」にはこれといって決まった形はないのだ。
始まることはないし、終わることもない。だからオマエらは生まれなかったし、死ぬこともないのだ。
心の内も外も実は全く同じものだし、何ごとも万事円満だ。
オマエらは、とっくに現在も過去も未来も超えているのだ。何を今さらジタバタすることがあるものか!
だからもし目の前に神や仏が現れて、「お迎えにきました」などと言われたからといって、ホイホイとついて行こうとするんじゃないぞ!
逆に何やら恐ろしげなものがあたり一面に湧き出てきても、全然ビビる必要はない。
余計なことを思い悩む必要はないぞ。もはやオマエらは、この世界とひとつになっているのだ!
オマエらは既に、充分過ぎるほど自由なのだ。そこんとこ、ヨロシク!
<第二十二問 悪魔と戦う方法 完>
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