ドロドロでエグいが面白いネットフリックス映画「ガス人間」「地獄に堕ちるわよ」

ネットフリックスの「ガス人間」が面白い。

監督:片山慎三 出演:小栗旬 蒼井優 UTA他

監督:片山慎三 出演:小栗旬 蒼井優 UTA他

ガス人間は、人間の姿をしているが、ガスに変わり、相手の体内に入り体を浮かせたりして、爆発させて死に至らしめる。殺人事件が起きて、刑事岡本(小栗旬)と女性記者甲野(蒼井優)が犯人を追っていく。
そこに、ネット番組を配信して視聴者数を増やそうとする貧しい藤川兄妹(林遣都と広瀬すず)が絡む。事件は、40年ほど前の隕石事件や謎の工場が関係してスケールが大きくなる。そして事件全体が、ええい、書いてしまうと、都知事選に関係してきてエスカレートし、面白さが加速する。

実は、脚本の粗さもある。ガス人間のメカニズム(どうやって生まれた等)もよく分からないし、前半で出て来る養護施設の女の子が大人になって、どうやってあんな風になるのだろうかと思う。しかし、話の展開に勢いがあって段々気にならなくなる。全8話だが、最終話の盛り上がりと言ったらない。

この映画、特に後半、エグくしつこい描写が見られて、自然と韓国映画を思い出す。実は、脚本を書いたのは二人の韓国人なのだ。1人は、「新感染エクスプレス」というウイルス感染ゾンビ映画を撮り大ヒットさせたヨン・サンホだ。ドロドロの理由はこれではなかろうか。
それに、この映画、キャスティングが実に面白い。面白いメーキャップで現れたり、何人もの俳優が熱演、怪演を見せたりするのがいい。

ちょっと挙げてみる。まず私が大好きな若手女優の芋生悠が、髪はオールバック、全身を黒で包んで有能な刑事として登場する。体を張ってアクションを行うが、芋生は小さい頃空手を習っていただけあり、体のキレがいい。
林遣都や広瀬すずはむさ苦しい雰囲気をよく出しているし、竹野内豊に至ってはしばらく本人だと分からなかった程。眉を剃り、出っ歯にして、下品なヤクザの親分を演じている。
UTAという一見プロ野球の元巨人の槇原(完全試合をやった)に似ている若者は、なんと、モッくんこと本木雅弘の息子(つまり樹木希林の孫)だ。また、警視庁の吉田なる刑事は怪演を見せる。サザンオールスターズの曲「いとしのエリー」も何度も流される。

監督:瀧本智行 大庭功睦 出演:戸田恵梨香 伊藤沙莉ほか

6月に放送が始まった「地獄に堕ちるわよ」も中々面白い。80年代に活躍した実在の占い師細木数子の半生を描いたドラマ。主役を戸田恵梨香が演じた。
このドラマ、実在の人物が実名で登場してくるのが面白い。例えば、歌手の島倉千代子(「人生いろいろ」、「東京だよ、おっかさん」の名曲がある)。島倉は、多額の借金を細木に肩代わりしてもらったために、細木に騙され地方公演でこき使われることになる。それを知った島倉が、お返しに、細木の恋人と寝てしまうことまで描かれる。演じたのは三浦透子(濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」で好演)。外見は全く似ていないが、仕草が似ているし、歌い方がそっくりなのだ。

細木は焼け跡で育ち、高校在学中にキャバレーに勤め、ヤクザと知り合い、事業を拡げてのし上がっていく。ドラマは十分に興味を引くが、実際の話は、もっとドロドロして、もっと面白いんだろうなと思う。個人的には、彼女には関心は全くない。占いに大金をはたく人たちは、バカだなあと思うが、人間って弱いから責められない。

ネトフリでとにかく凄いのは画面が立派ということ。映像美というか、潤沢な金を使って豪華な「絵」になっている。戦後の日本の再現、豪華クラブの描き方。本物に見える。ネトフリ恐るべし。

「ガス人間」の片山慎三監督の代表作は「さがす」(2022)であり、これは2022/3/20の回で紹介している。父親が突然失踪し、中学生の娘がさがしはじめるが、父親は、自殺願望の人間の殺人ほう助をしていたという話であった。
途中、エグく陰惨な話が展開するが、演技や演出がよく、引きこまれる。父親役の佐藤二朗、娘役の伊東蒼もとてもいいが、昨年、二人揃ってそれぞれ「爆弾」と「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」の演技でキネ旬の助演賞を獲得した。

好きな映画を一本! 詳述するスペースがないが、その「爆弾」は、東京で発生する連続爆破事件を描く。佐藤二朗は、別件で警察に拘置されつつ、爆弾予告をしていくのである。佐藤は、坊主頭で人懐っこくも不気味な男を演じて独特の存在感を示した。
現実と繋がっている感じがあり、今の時代、東京に住むことは恐ろしい事だと思った。

(by 新村豊三)

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