ネット詐欺被害者の自分が見て面白かった韓国映画「市民捜査官ドッキ」

1月末にひどいネット詐欺に遭ってしまった。一般的に「ジャック・ウイリアムズ詐欺」と呼ばれる、ネットで検索してもすぐ出てくる有名な手口だ。

パソコンの画面が突然真っ黒になり、ガンガンガンと警告音が鳴り、「ウイルス汚染された、直してほしかったらマイクロソフト社のこの人物に電話して対処してもらいなさい」と出る。
信じて、電話してしまった。
電話の犯人は、直してくれたふりをして、ネット預金の方を確認しましょうと誘導し、こちらはうっかり、パスワードなどを教えてしまったのだ。

詐欺と分かった時点ですぐに警察に連絡した。刑事さんが夜中に家に来たり、被害届を出したり大変だった。きっと、「トクリュウ」にやられたのだ。お金は、詐欺に遭ってからわずか一時間以内に池袋のコンビニから引き出された。

1か月後、立川にある地方検察庁の女性検事さんから自宅に電話があった。お金の一部をコンビニから引き出した犯人が捕まった。ええっ。犯人グループが分かった訳でも、捕まった訳でもない、末端の犯罪者が捕まっただけ。犯人はベトナム人。弁護士が、犯人が反省文を書いて私に渡したいと言っているが受け取るか、という問い合わせだった。

嗚呼、ベトナム人! 家は朝日新聞を取っており、配達をしてくれるのはベトナムから来ている女の子。毎朝、バイクに乗って配達。もう6・7年それが続く。4~5人のベトナム出身の子が朝日新聞販売店の寮で一緒に生活し、早朝4時頃新聞を配達し、その後日本語学校に通って勉強しているとの由。
心優しき(?)ウチの家族は、クリスマスイブの日には、ねぎらいの言葉と共にチョコレートセットを新聞受けに下げてプレゼントしたこともあった。それも1度ならず。それなのに、こんな仕打ちをされて、今まで「外国人は大事にしてあげよう派」だった私は、参政党支持者に見事に変わった(ここは脚色)。

検事さんから裁判実施の日時を告げられ、せっかくの機会だから一度見てみるかとカミさんと裁判の傍聴に出かけた。場所は立川。
小さな法廷で、裁判官も書記官も一人。向かって左側に長身スッとした40代前半の女性検事。右側に二人の女性弁護士。国選弁護士じゃなかろうか、60代後半の方と新人見習いっぽい若い人。

さて、刑務官が両脇について、入ってきた被告のベトナム人は、あれえ、予想と違ってボンボン風の、いいとこ風のハタチそこそこのお兄ちゃん。着ているものも身ぎれいというか、きちんとした服、僕が来ているユニクロより高いんじゃないか(着る物は被告の自由と今回知った)。

裁判の感想を一言で言うと単調で地味で全く面白くなかった。映画やドラマでは検察と弁護側が対立し、写真や動画など証拠資料が示されたりしてドラマティックであんなに面白いのに。
今回行われたのは検察の罪状の読み上げだけ。弁護側は何も言わない。被告も何も発言しない。それに加えて、裁判官がマスクしていて話が聞き取れない。女性検事も早口で、罪状を上げているのに、何だかよく聴こえない。書いてあることを確認するルーティンの手続きなので、力が入らないのかも。映画みたいに、スッと手を挙げて、途中で「裁判長、もっと大きな声でお願いします。私は被害者です」と言えばよかったなあ。

次は7月。今度は弁護側の説明があるかと思ったら、余罪が出てきて、検事さんから、その事件の説明があっただけだった。あの犯人、他にも犯罪やっていやがった。腹立って仕方ない。審理わずか20分。もう行かないことに決めた。という、我が犯罪と裁判の顛末でした。

監督:パク・ヨンジュ 出演:ラ・ミラン コンミョンほか

監督:パク・ヨンジュ 出演:ラ・ミラン コンミョンほか

さて、好きな映画を一本。ネット詐欺を描く韓国映画「市民捜査官ドッキ」(2024)が傑作。韓国も、「トクリュウ」のような組織から、全く同じ手口でネット被害に遭う人が沢山いるという現実を知った。そして、驚くことに、この映画は実話に基づくのだが、その女性の被害者が外国の「トクリュウ」のアジトに行って、犯人グループ逮捕に貢献するのだ!

中年シングルマザーのドッキは銀行員を名乗る男を信じて大金を騙し取られる。ところが、その犯人から、この犯罪グループから抜け出したい、警察に連絡を取ってくれと電話が来る。犯罪アジトは青島にある。ドッキは、中国語の出来る友人(中国の朝鮮族出身)らと共に青島に捜査に向かう…この映画、大変に質が高く、演技陣の好演もあって見ごたえがある。

(by 新村豊三)

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