空中庭園スペシャルインタビュー、画家・イラストレーターとして大活躍中のたかしまてつをさんをお迎えしてお送りします。インタビュアーは当ホテルオーナー風木一人です。
大きくて太った猫が100万匹以上!?
「こんにちは。どうぞよろしくお願いします」(風木)
「よろしくお願いします」(たかしま)
「たかしまさんのことを知らない読者も一人くらいいるかもしれませんから(笑)、 代表的なお仕事のことをうかがいたいです。まずは『ビッグファットキャットの世界一簡単な英語の本』について」
「自分の中ではどの仕事も思い出深く、あれはこうだったなって覚えてるんですけど、最初にたくさんの人に見てもらえたのはやっぱりビッグファットキャットですね。
あれほどヒットするとは関係者のだれも思ってなかったんじゃないかなぁ?
だって、学習書ですから。学習書がベストセラーになるって想像しづらいですよね?
著者の向山さんと編集の永島さんは、今までにない楽しい英語の本を作ろうとされていて、息の長い、ずっと愛される本にしたいとおっしゃってました」
「それが出たとたん……」
「いきなりですよ。なんでそうなったか、ぼくにはわからないですけど、営業の方がすごくがんばってくださったという話は聞きました。
あとテレビ。小倉智昭さんの朝の情報番組で取り上げてくださって、それから急に。毎週重版ですよ、それも万単位で。あっという間にミリオンセラー。
英語の学習本でこんなことあるんだなあ、とびっくりしました」
(たかしまさんを知らない人もこの猫には見覚えがあるはず!)
「ぼくは永島さんに声をかけていただいたんです。太った憎たらしい猫描いて、と。
当時どちらかというと犬派だったんで、資料集めたり、猫のテーマパークに行ったり、近所の猫を観察したりから始めました。
猫のデザイン、10種類くらい考えましたね。すぐには意見が一致しなかったんだけど、人気投票をしたりあれこれやって、最終的にみんなまとまったのがこの猫でした」
「インパクトのあるいい猫です」
「ありがとうございます。猫が決まったらあとはスムーズでした。猫の色をメインにすえ、それとぶつからない色を10色作って全部まかなう。線をシンプルに、色も目に優しく、いかにも学習書っていう堅い感じにならないように気をつけました」
「大ヒットをうけてシリーズ化されましたね」
「向山貴彦さんから『次、やりたいことやらない?何やりたい?』と訊かれて、ぼくは絵が描きたいから絵本みたいなのをやりたくて、向山さんも絵も絵本も好きな人だから、じゃあ絵本みたいな楽しい英語の本を作ろうとなりました。
向山さん、すごいエネルギッシュな方で最初毎月出そうって言ってたんですよ。でもさすがにそれは無理で(笑)、結局4年の間に7冊作りました」
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「物語を楽しんで、楽しむことによって英語が身につくという画期的なシリーズになりましたね」
「ありがとうございます。長く愛される本になって本当に嬉しいです」
※明日更新の第2回へと続きます。明日はマンガ「ブタフィーヌさん」のお話。どうぞお楽しみに!
2001年には犬派だったたかしまさん、その後奇跡の出会いがあって今は2匹の猫と暮らしています。ナロちゃんと、えんちゃん。猫たちとの日々をつづったブログもぜひご覧ください。
「あすナロにっき」
左:ナロちゃん 右:えんちゃん
たかしまてつを tt-web
1967年愛知県生まれ。画家/イラストレーター。1999年ボローニャ国際絵本原画展入選、2005年ほぼ日マンガ大賞受賞、2005年二科展デザイン部イラストレーション部門特選賞を受賞。代表作は「ブタフィーヌさん」(ほぼ日刊イトイ新聞)、「ビッグ・ファット・キャット」シリーズ(幻冬舎)。近刊に風木一人との絵本『とりがいるよ』(角川書店)がある。