イラストレーター5人が作り上げた空想絵物語集『五つの色の物語』

【重要なお知らせ】こちらで紹介しています書籍『五つの色の物語』のAmazonでの初期出荷分には印刷不良がありました。2020年11月30日ごろまでにご購入くださった方は、Amazonで送料無料で修正版に交換することが可能ですのでお早めにお手続きください。印刷不良の詳細や手続きの手順をこちらのページに掲載しましたのでご覧ください。

ホテル暴風雨 絵画文芸部の2冊目の本ができました

みなさまこんにちは!

昨年より、ホテル暴風雨に集まった、絵を描き文章も書く5人(浅羽容子、クレーン謙、斎藤雨梟、松沢タカコ、芳納珪/服部奈々子)で「ホテル暴風雨 絵画文芸部」を結成し、本を作って「文学フリマ」に出るなどの活動をしてきましたが、この度2冊目の本ができました。

タイトルは『五つの色の物語』です。

表紙はこれです! 今回はメンバーの一人でもある私、斎藤雨梟が表紙の装画とデザインを担当しました。2020年11月16日アマゾンにて販売開始。

販売ページはこちらです。ぜひ画像と内容紹介だけでもご覧ください!

本のコンセプト、つまり「お題」のわかりやすい表紙を目指したのですが……みなさまどういう内容だと思われますか? 知らないよ、とおっしゃらず、よければ5秒くらい考えてみてください。

『五つの色の物語』とは?

答えは、作者五名がそれぞれ「色」をテーマとして短編小説を書き、イラストを描いた画文集です。各作品の絵(カラーイラスト&モノクロ挿絵)と文はもちろん、ページデザインまで各作者の手で作り上げた世界が合計五つ収録されるという、なかなか豪華な本になりました。

五編の小説は、一編が10,000〜15,000文字くらいの気軽に読める長さで、空想上の世界を舞台にした、大人から子供まで楽しめる絵物語です。

収録作品を簡単に紹介します(掲載順)

<赤の物語> 「塑界の森」 芳納珪(よしのけい) / 服部奈々子(はっとりななこ)・作
……思い描いたものを実体化できる世界で画学生が見たものは? 爽やかな読後感の和風青春ファンタジー & 色鮮やかな「赤」の版画
<黄の物語> 「サスキ氏の黄色い一日」 浅羽容子(あさばようこ)・作
…… 変テコワールドの住人たちを独特のユーモアで描く、読むとハッピーになれる脱力ファンタジー & 塗り込んだ質感に表情がある「黄」のアクリル画
<緑の物語> 「緑色のあいつ」 クレーン謙(くれーんけん)・作
…… 自分自身との出会いを童話的かつ哲学的に描く一匹の「虫」の変身譚 & 抑揚のある力強いタッチのペン画・カラーイラストに写真をミックスした「緑」の表現
<白の物語> 「Confession of Love」 松沢タカコ(まつざわたかこ)・作
…… たわいのない男女のメールのやりとりに秘められた喪失と再生を描くミステリアスSF & メロウな色合いの中で「白」が美しく映える、デジタル着彩のペン点描画
<青の物語> 「はじめの青い海」 斎藤雨梟(さいとううきょう)・作
…… 無機質な終末世界の片隅で「青い場所」に紛れ込む謎めいた少女たちの運命を描くSFファンタジー & 幻想的な「青」をデジタル着彩で表現した鉛筆画

内容に関して、「色」をテーマにする以上に揃える努力をしたわけではないのですが、結果として、新しい出会いやまだ知らない体験が描かれ、未来への明るい希望を感じさせる物語が揃いました。

私は後で、「色」について考えるとき、その色の素敵なところをとらえて切り出して見せたいという欲求がイラストレーターには強く生じるからか? と思いました。図らずも、絵描きによる「色彩愛」物語に仕上がっています。

たくさんの方の手に届き、読んでいただけることを、作者一同、心から願っています。

amazonで見てみる

『五つの色の物語』の出版形式「オンデマンド出版」とは?

今回のホテル暴風雨 絵画文芸部の本『五つの色の物語』は、「オンデマンド出版」という形式で出版しました。これは注文があったぶんだけ本を印刷・製本して読者に届けるという新しいスタイルの出版です。私たちは巨大ネットショップ「amazon」による「amazon POD(プリントオンデマンド)」というシステムを利用しました(ですので原則としてamazonのみでの販売です)。

オンデマンド出版は、一般的な形式の出版(売れる部数を見込んで大量に印刷・製本して販売する)に比べて一冊ずつ印刷するぶん、一冊当たりのコストが高くなるデメリットがあるものの、無駄がなく、初期コストが低く、何より絶版になることがないのが利点です。

出版社がオンデマンド形式で出版するケースも増え、オンデマンド出版用の印刷・製本の機械を備えていてその場で本を作ってくれる書店も登場しています。日本ではじわじわと増えているくらいですが、ヨーロッパではオンデマンド出版の点数が今や非常に多いそうです。

「amazon POD」も、今のところ出版社に向けて提供されている出版システムですが、近年、オンデマンドで本を出したい個人やグループに向けて、amazon PODでの出版を支援・仲介してくれる出版社のサービスが出てきました。

私たちも、「ネクストパブリッシング」という電子出版プラットフォームの中の、「ネクパブ・オーサーズプレス」というシステムを利用して本書を出版しました。

簡単に言うと、印刷する本の中身(文章や絵の入ったページや、目次や表紙など)を全部自分たちでPDF形式のデータとして作成し、それをアップロードすることで、amazonに本を並べられるようになるのです。本のデータを自分で作るのが難しい人には有償の支援サービスも用意されていますが、自分で全部やれば初期費用なしで本を作ることができます。

出版社だけでなくもちろん個人にとってもメリットの多い形式で、印刷会社にまとめて印刷を頼んだ場合に比べると、最初に費用がかからず、本が余った場合に在庫を抱える心配がなく、逆に本が全部売れてしまって絶版、ということもありません。

以前から興味がありましたが、この機会にオンデマンドでやってみよう! と相談がまとまったわけです。

 amazon POD でオンデマンド出版するまでの道のりを座談会で語ります

オンデマンド出版に向いている本の代表は、「多数ではないものの一定の需要がある」本だそうです。ハマりにハマる人が一定数いる趣味、超メジャーではないけれどマニアや愛好家の確実にいるジャンル、などの本などがそれにあたるでしょう。

私たちの志す小説は、今回はあえて言えば「ファンタジー」ですが、間口狭く奥深いタイプのジャンル小説とはむしろ正反対で、読むために特定の世界観や作法の理解は必要なく、読む人を年齢などの属性で選ばないものです。ですが小説の場合、「〇〇系」と一言でカテゴライズできた方が流通しやすいという事情があるようで、ジャンル需要に濃く応えていないものはむしろマイノリティかもしれません。
また、「大人も楽しめる読み物で、絵のたくさん入った本」も意外と少ないです。「絵と文」であっていわゆる絵本ではない。ジャンルを狭く絞った小説でもない。そういう本は面白そうだし既にありそうなのに、タイトルをいくつ挙げられる? 欲しかったら書店のどこの売り場にある思う? と考えると、「うーん」とならないでしょうか。
こういうのを読みたい人はいるはずだ! と信じるところの私たちが作った絵と文の本、オンデマンド出版にはぴったり(なはず)です。

「絵と文」で本を作ろうというスタートから、実際にオンデマンド出版のために、データを全部自分たちで作ってまとめた体験まで、「本づくりの発想や制作の過程に興味がある」方にお伝えしたいのはもちろん、「絵と文章両方の本を作ってみたい」「amazon PODで出版してみたい」という方にも参考にしていただければ嬉しいと思い、近々作者5人による、web上座談会をこちらのサイト「ホテル暴風雨 空中庭園」に掲載します。

どうぞお楽しみに!

『五つの色の物語』本の仕様について

最後に、amazon POD で作った本書が(物理的に)どんな本なのかについてご説明します。

表紙画像だけではサイズが伝わりにくいですが、B5版です。フルカラーの絵を入れるならば大きい方が、ということでこの判型を選びました。大きい紙面で読みやすいよう、文章は二段組または三段組でレイアウトしています。
ページ数は58ページ(うちカラー10ページ)、表紙はすべすべした手触りのマットPP加工(つや消しのラミネート加工の一種)、造本の種類としては「ペーパーバック」です(ハードカバーではなく、薄めの表紙です)。

amazon POD の本はすべてこうした、ペーパーバックの本です(2020年11月現在)。表紙の加工には『五つの色の物語』同様の、光沢を抑えたマットPP加工と、他にもう一つ、光沢のあるグロスPP加工があり、どちらかを選ぶことができます。

重厚さはないですが、手に取って読みやすい作りです。気軽にどこでも読めて、友達になりやすい本です!

さらに詳しくはamazonのページにて

どうぞよろしくお願いいたします。

『五つの色の物語』冒頭試し読みページもできました

<赤の物語>芳納珪 / 服部奈々子作 「塑界の森」

<黄の物語>浅羽容子作 「サスキ氏の黄色い一日」

<緑の物語>クレーン謙作 「緑色のあいつ」

<白の物語>松沢タカコ作 「Confession of Love」

<青の物語>斎藤雨梟作 「はじめの青い海」

こちらも是非ご覧ください。

ホテル暴風雨にはたくさんの連載があります。小説・エッセイ・漫画・映画評など。ぜひ一度ご覧ください。<連載のご案内> <公式 Twitter

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