「捨て犬の家族さがし」展覧会で見た衝撃の紙芝居

【 わたし、捨て犬と出会う 】

当ホテル1666号室滞在の北野玲(きたのれい)です。
このたび「わたし、捨て犬と出会う」を復刊しました。愛育社(出版社)からの発行以来じつに18年ぶりの復刊でした。

そこでこの「空中庭園」では
(1)どのような経緯で「わたし、捨て犬と出会う」を企画する意欲となったのか。
(2)「わたし、捨て犬と出会う」を世に出して訴えようとしたことはなにか。
(3)「わたし、捨て犬と出会う」をどうして復刊しようと思ったのか。

この3点につき、3回に分けて語っていきたいと思います。

2004年に発行の「わたし、捨て犬と出会う」(愛育社)

【 衝撃の紙芝居 】

さて、どのような経緯で「わたし、捨て犬と出会う」を企画する意欲となったのか。

かれこれ19年前、2003年(平成15年)のことです。
友人女性から「展覧会で販売するイラストを提供してもらえないだろうか」と打診が来ました。彼女は「捨て犬・捨て猫の家族さがしボランティア活動」を熱心にしている人でした。私は以前から彼女の献身的な活動を知ってました。私にはとてもできない仕事だと思い、尊敬していたのです。そこで快諾し、「子どもの笑顔」というテーマで色鉛筆作品を30点描いて、提供することにしました。会場で作品を展示販売し、その収益を活動費に充てていただくという主旨でした。

その展覧会場で、ボランティア活動に参加しているみなさんが共同で作った紙芝居を見ました。それは楽しい物語ではなく、衝撃の内容でした。日本では年間に50万頭の犬や猫が全国のセンターで殺処分されているというのです。まさに耳を疑う数字でした。
50万頭!
日本だけで!
この驚くべき数字は、毎日毎日1370頭もの犬や猫が殺処分されているということになります。ショックでした。こんな国が先進国と言えるでしょうか。

なぜ我々は毎日これほど多数の犬や猫を殺しているのか。
この衝撃的な、しかも一刻も早くなんとかしなければならない問題に対して、自分にできることはなにか。
会場で見た紙芝居がそのヒントのように思いました。絵の力、アートの力を信じて本をつくるのはどうだろう。それは絵と文章で物語る本ですが、架空世界の物語ではなく、現実の問題として受け取ってもらえる絵本。そんな絵本はできないだろうか。

こうした模索から「イラストをメインにしたルポの本」という企画が生まれました。「捨て犬を家族として迎えた人」を取材し、それを絵と文章で紹介する本はどうだろう。
このアイデアを展覧会場にいたスタッフのみなさんに話しました。色々な意見が出る中で最も嬉しかったのは「それなら紹介できる人が何人かいる」という発言でした。連絡さえつけば、「この人ならきっと応じてくれる」という人が何人かいるというのです。

「これはいけるぞ」と思いました。さっそく取材を開始しようと思いました。発行に応じる出版社が見つかるかどうかは全くの未知数でしたが「ともかく取材を開始しよう。取材を重ねながら出版社も探してみよう」といった開始でした。

つづく


北野 玲(きたの れい)
画家・デザイナー・文筆家。岐阜中日文化センター講師。ホテル暴風雨1666号の住人。
毎週金曜日に「魔談」を連載中。主な著作に『わたし、捨て犬と出会う』『わたし、菜食と出会う』(愛育社)など。岐阜県加茂郡八百津町の山村で地域おこしに参画中。
公式HP http://reik85.wix.com/rei-1


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