たかしまてつをさんをお迎えしての空中庭園スペシャルインタビュー、今日から後半です。たかしまさんの新作絵本『とりがいるよ』のお話を2回連続でうかがいます。
『とりがいるよ』
風木一人「今日だけはわけあって(笑)対談に近い形でいきましょう」
たかしまてつを「はい、ぜひ(笑)」
「この本はぼくにとっては例外的な作り方でした。ふつうは編集の方と作り始めてそれから絵描きさんを探すんですが、これはまずたかしまさんと作り始めて、それから出す出版社を探しました」
「風木さんの展覧会がスタート地点でしたね(注1)」
「ぼくが仮の絵を描いた試作品を会場の隅に置いといたら、たかしまさんが見つけてくれて」
「タイトルに呼ばれた気がしたんですよ。『とりがいるよ』。え、どれ?って。
ふつうに気持ちよく読み進んでいたらとつぜん『長い鳥がいるよ』、ここで衝撃を受けました。
だって、鳥の足が長いとか首が長いとかはあるけれど、鳥が長いって表現ないですよね? 聞いたことないですよ?」
「ないですね」
「絵もふつうの鳥をただきゅーっと引き伸ばしたような妙なフォルムで、これもツボにはまりました」
「あれはナメクジみたいと言った人もいました(笑)」
「ページめくって、でももう一度戻って見直すくらいおかしかったです」
「ふしぎですね。ぼくは狙ってないんですよ。次のまあるい鳥とセットで形に特徴ある鳥を出したいと思ったら自然とあの言葉と絵になっただけで。たかしまさんがそんなに反応してくださるとは意外でした」
「もうひとつ、『いろんな鳥』もよかった。カーブを描いて歩いているビジュアルがとてもよくて、ここはぼくが描くときも変えたくなかった。そのままいただきました」
「ここもぼくは深く考えてないです。なんとなく出てきた。でも、なんとなくって大事ですよね。偶然のようで偶然じゃない」
「蓄積だと思います。いろんなものを見たり作ったりしてるうちに、いいものを自分の中に貯めてて、それがひょいっと出てきてくれる。ただの偶然とは違いますね」
※著者ふたりによる制作裏話、明日更新の後編へと続きます。
注1(2014年、目白のブックギャラリーポポタムで行われた斎藤雨梟×風木一人ふたり展「ふしぎなトラのトランク」のこと)
たかしまてつを tt-web
1967年愛知県生まれ。画家/イラストレーター。1999年ボローニャ国際絵本原画展入選、2005年ほぼ日マンガ大賞受賞、2005年二科展デザイン部イラストレーション部門特選賞を受賞。代表作は「ブタフィーヌさん」(ほぼ日刊イトイ新聞)、「ビッグ・ファット・キャット」シリーズ(幻冬舎)。近刊に風木一人との絵本『とりがいるよ』(角川書店)がある。